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 【静岡】浜松市中央区の伊場遺跡から出土した弥生時代後期(1~2世紀)の木製よろいの赤い発色に、当時は貴重だった水銀朱がふんだんに使われていたことが分かった。浜松市博物館が発表した。同じようなデザインの木製よろいが出土した北部九州と現在の浜松市との間で、約1800年前に交流があった可能性をうかがわせるという。

 よろいは高さ49センチ、幅46センチ程度だと推定され、右前胴部が1972年に、翼状の突起がついた左後胴部が73年にそれぞれ出土。ヤナギ材が使われ、赤い色が鮮やかに残っている。大陸風の幾何学模様も彫られており、儀礼用だったとみられている。

 市は2022年からの調査で、X線分析とマイクロスコープによる観察を試みた。黒い漆塗りを下地に、水銀化合物を含んだ鉱石を使った赤い漆が塗り重ねられていることが分かったという。

 よく似た木製よろいは福岡県糸島市でも製作途上の形で出土している。水銀朱が比較的手に入りやすく、朝鮮半島との交流拠点として先進的な技術や知識があった地域だ。

 伊場遺跡の木製よろいは、その北部九州とつながり、物資や情報が行き来する豊かな地域が浜松の地に形成されていた可能性を物語る。

 木製よろいは、「浜松科学館」が、高校生以上を対象に毎月開く「夜の科学館」で8日、公開される(大人600円、高校生300円)。担当者の解説もある。(青田秀樹)

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